北九州発の終活情報誌
「もしもの広場」
お墓について考えていますか?
私たちの住む日本は、平均寿命が八十歳、健康寿命が七十歳を超える超高齢化社会になっています。
これを背景の一つとして元気で時間的に余裕のあるうちに「逝き方」やその準備を行う終活がトレンドとして根付きつつあります。現に都市部では「就活セミナー」と銘打った講座にかなりの人数の参加者があります。そうした終活の中で相談が多いのは「お墓」に関することです。
そこで今号ではお墓について考察していきます。
【自分のお墓や埋葬方法についての準備は?】
70代では過半数が「すでに考えており、準備している」。
40代では、過半数が「考えたことはあるが、まだ準備していない」。
最近の終活相談の中でのお墓に関するものは、大きく分けて二つあります。
一つ目は、散骨葬や樹木葬や手元供養(遺骨をペンダントやアクセサリーに納める。遺骨でそれらを創る)のように、従来とは異なり 「お墓に入らない(納骨しない)供養方法」に関する相談。
二つ目は、「永代供養(永代墓)や墓じまい」に関するものです。なぜ、こうした相談が増えたのでしょうか。
第一生命経済研究所の調査によると、自分の墓や埋葬方法についての準備状況は40代では、12.7%が「すでに考えており準備しているか、家族などに意思を伝えている」で、これは50代、60代と年齢層が上がるにつれてその割合が増加し、70代では57.2%と過半数が準備等をしていることが分かります。
また、「考えたことはあるが、まだ準備はしていない」人は四十代でも51.9%で、年齢層を問わず過半数の人が自分の墓について「考えたことぐらいはある」ということが分かります。
【先祖の墓を守るのは子孫の義務か?】
「先祖の墓を守ることは子孫の義務である」考えには75%が肯定的。
しかし、男女差は大きく、女性は男性に比べ積極的に肯定派が少ない。
次に、「先祖のお墓を守る」ということについてみていきます。
先ほどと同じ調査で「先祖の墓を守り供養すのは子孫の義務である」という考えに肯定的な人は75.7%で否定的な人の8.1%を大きく上回りました。
ただし性別で分けると男性の積極的な肯定派は49.6%に対しは、女性の肯定派は29.9%しかおらず20ポイント近くの開きがあり男女で意識が大きく違うことが良く分かります。
特に女性の側は「死んでまで夫の家の墓には入りたくない」といった声も現れています。
「先祖の墓を守る」ことを必ずしも肯定しない人の中から新たな方法としての「散骨・樹木葬・手元供養」という選択肢が生まれ、それについて知りたいという相談が出てきたということがこの調査から読み取れます。
【自分のお墓が無縁墓になる可能性は?】
4人に1人は「将来自分の墓が無縁墓になる」可能性を感じている。
また、子どもがいてもいなくても可能性を感じている人は多い。
更にこの調査では「自分の墓が無縁墓(誰も供養しない)」になる可能性についても尋ねています。
「自分の墓が将来、無縁墓になってしまうかもしれない」と考える人は24.6%で4人に1人はその可能性を感じています。子供がいない人が「無縁墓になる」と感じるのは当然といえば当然ですが、子供がいる人でも「無縁墓にはならない」と考えられる人は半数程度で、多くは無縁化を意識しているようです。
少子化が「永代供養(永代墓)」の相談を生み出す要因になっているといえます。さらに少子化の影響は「墓じまい」にも繋がっています。
例えば一人っ子同士の結婚によってそれぞれの先祖(家)の墓を守るのが難しく、「二つの家の墓を一つにできないか」、「どちらかの墓を更地に戻せないか」といった現実的な相談へと結びついているのです。
老後をいかに過ごすのかというライフデザインをさらに延長し、「自分はどのような終末期医療を受けるべきか」、「どのような葬送をするのか」といったことを主体的に行う終活を行う人が増えてきています。
これは少子高齢化、核家族化、医療の高度化がもたらした大きな変化です。しかし、終末期から死に関わる介護や看護、葬送・供養といったことは、絶対に本人独りではできないことです。これまでの日本社会では、家族や子供がそれを担ってきました。ですが家族のありようが変化し、「子供に頼りたくない・迷惑をかけたくない」とか「子供がいない」という状況が増えてきて、葬送に関して言えばそれらの意識が「散骨や永代供養」といった形になって現れてきているのです。
ですが、散骨や永代供養に関しても誰かに委託しなければならないのですから、終活で重要なことは、自分の考えや思いを「誰かに」伝えておくことなのです。
余談になりますが散骨や樹木葬・手元供養・永代供養などは以下のような問題点も指摘されています。
●散骨・・・遺骨が無くなってしまうため、以後どこでどのように供養・追悼すれば良いのか?
●樹木葬・・・交通の便の悪い場所に設置されていることが多く、遺族がそこを訪れるのが大変
●手元供養・・・手元供養の品を持っている人が亡くなった場合、次の世代はどうすれば良いのか?
●永代供養・・・永代とは半永久と意味ではなく期限があること。期限には法的な概念が無い。
「墓」のありようから考察した様々な問題点は一種の社会問題であり、あなたやあなたの家族だけで解決できないことも多々あるでしょう。 しかし、これらの問題点も含めて終活を単独ではなく「誰かと」共に考え進めていくことが重要なのだといえます。
年金の基本を知っておこう
年金見込み額試算額を見たことがありますか?。終活を考え、これからを生きていくうえで、「老後の生活」として、「いったい、いくらの生活資金が確保できるのか」を考えておく必要があります。その中で、自分の年金がいったいどの位なるのかを確認する方法をご存じでしょうか?
「ねんきんネット」のホームページで自分の年金見込み試算額を確認することが出来ます。将来は年金生活になるけれど、正直年金のことはよくわからないという方は多いのではないでしょうか。そこで、年金の決まりについて3つの点を、説明します。
≪会社員も国民年金に加入している!≫
会社員も国民年金にも加入していることをご存知ですか?実は、会社員は厚生年金だけでなく、国民年金にも加入しています。以外に知らない方も多いのですが、イメージとしては1階に国民年金、2階に厚生年金の2階建ての年金制度となっています。給与明細を見ても、厚生年金保険料だけが控除されているので勘違いしがちですが、会社員は、厚生年金被保険者なのですが国民年金第2号被保険者でもあるのです。
つまり年金を厚生年金と国民保険の両方からもらえるという事になります。結果的に同じ収入であっても、国民年金加入の自営業の方よりも、会社員の方がもらえる年金額が多くなるとも言えます。
知っておくと得する豆知識として、国民年金保険料は、毎月定額で月額1万6260円(平成28年度)ですが、厚生年金保険料給与の等級で決まる「標準報酬月額」に応じた保険料を個人と会社で折半負担します。そのため、標準報酬月額の金額によっては、国民保険より保険料が安くなる場合があります。
例えば、「標準報酬月額」が18万円であれば、月額1万6045円(平成28年8月まで)なので、「標準報酬月額」が18万円以下の場合は、国民年金保険料より安い厚生年金保険料で、将来厚生年金分が上乗せされてもらえることになります。
これは、平成28年10月からパート等に社会保険が適用拡大されることになっていますが、現在、国民年金保険料をご自身で負担されている方の中には、会社の社会保険に加入した方が得をする場合もあるということになります。
≪奥さんを扶養家族に入れても、社会保険料は変わらない?≫
社会保険料は、原則4?6月の給与の等級に当てはめた「標準報酬月額」によって計算され、毎月同じ額の保険料が控除されています。そんな中、結婚して奥さんを扶養(国民年金第3号、健康保険の扶養)に入れるケースや子どもが就職して扶養から削除すると言ったことがあります。そうした家族の状況の変化に伴って、控除される金額が変わるのでしょうか。
答えは、NO。扶養の変動に伴って、毎月給与から控除される社会保険料が変わることはありません。それでは、配偶者の保険料は一体誰が負担しているのか。どこからも控除しないのに、妻の年金などはしっかりと発生しているのにという疑問が生じます。
実は、配偶者等の年金などは、厚生年金に加入している日本全国の「会社員全員」で負担しているのです。徴収した厚生年金保険料分の全体から、国民年金に必要な分を拠出しているイメージです。
≪国民年金の未納期間、年金はどれだけ減る?≫
本来、年金は1日の空白もなく加入しなければならないのですが、事情があったり忘れていたりして、保険料を払っていない時間があるというケースは結構あるのが実態のようです数年前にも政治的に問題になりましたので、ご承知の方も多いとおもいます。
身近なところでは、大学生のときに免除申請を忘れていてそのままということも少なくないのではないでしょうか会社を退職して再就職するまで国民年金を払わずに未納となってしまっているケースもよくあります。
当然、未納期間があれば、将来の年金はその分減らされるわけですが、国民年金の場合はどのくらい減額されるかはきになります。これらを含めて「ねんきんネット」で確認しておいたほうがよさそうです。
ちなみに、会社を退職して所得が少なく、「国民年金保険料を払えない」といったときは、保険料免除や納付猶予が活用できる場合があります。未納と免除では、将来の年金の反映のされかたはもちろん、万が一障害を負ったときなどでも大きな差があります。
万が一、保険料を払えない場合は、免除などを活用できるので、区役所窓口で相談されると良いと思います。
年金は、知らないと損をすることがたくさんあります。まずは、誕生月に届く年金定期便や「ねんきんネット」を活用し、ご自身の年金記録をじっくり確認してみてはいかがでしょうか。
※参考記事※東洋経済ONLINE2016年8月16日年金の基本を知ると「損得」まで見えてくる!を参考