北九州発の終活情報誌
「もしもの広場」
私の初盆
私たちはお盆になれば、お墓参り、仏壇にお供え物をしてお寺様にお経をあげてもらい、先祖の供養をしてきました。
お盆でも、大切な人を亡くした家族が、はじめて迎えるお盆は「初盆」として、特別な思いを込めて行われます。
私は20年あまりお葬儀の仕事に関わってきましたが、以前働いていた会社では、「初盆」のお手伝いをしていませんでしたので、今年初めて「初盆」の手伝いをしました。
盆提灯などのパンフレットを持って葬儀を担当させていただいたお宅にお伺いすると、喪主さまなどから大切な故人への思いが伝わってきます。しばらく故人様の思い出話を聞かせていただいた事もあります
大切な人を迎えるために、業者さんに頼んで仏壇をきれいにし、畳替えをする方も結構いました。
私たちの「初盆」のお手伝いは、喪主様の意向を聞きながら盆提灯や礼品などを決めていただき、お盆の前にお飾りをする事です。そして、お盆が終われば片付けです。
葬儀の合間の仕事だし、時間も限られているので、結構ハードな「初盆」でした。でも、初盆のお手伝いは、葬儀社としては続けていかなければならない仕事のひとつだと思いました。
「いろいろお世話になりました。東京にいる私たちには戸惑う事ばかりでしたが、無事に終える事ができました。いらして下さった方々から、生前の父の話を聞くことができて本当によかったです。母も○○ さんがいろいろして下さるので、心強かったようです。ありがとうございました。」
お盆が過ぎて、息子さん夫婦から頂いた手紙です。
初盆は手紙のように、親戚の人だけでなく故人と縁があった方々から、故人の事を聞き、知らなかった大切な人の事を胸に刻む時間なのです。また、「家族葬」をしたお宅から「親父がこんなに 付き合いがあったなんて知らなかった。」と礼品の追加がありました。
初盆は、故人が地域や町内とどんな関りを持っていたのか改めて教えてくれたのです。
大切な人を亡くした後行われてきた「初盆」は、残された者に沢山の想い出をプレゼントし、家族の絆を強いものにしてきました。
また、自分たちを生み、育ててくれた地域との関り、繋がりを見直す 絶好の機会でもあるのです。
家族は、大切な人を見取り、お通夜、葬儀を行い、初盆、一周忌と弔っていきます。このひとつひとつの過程が家族にとっては「葬儀」なのです。私は葬儀式が終わった後も 遺族の方々とお付き合いする事によって、遺族が元気になっていく姿に触れ、仕事に励みを持つことができます。
また、葬儀に対する感想や意見を頂く事もあります。そう言う意味で、初盆は葬儀を担当 させていただいた私たちにとっても大切な取り組みだと実感しました。