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最近のお墓の事情

 死んだら誰もが入ることになるお墓。先祖を祀り、故人を偲ぶシンボルとしての意味もあります。
ところが、そのお墓が存続の危機にさらされています。最近メディアにも取り上げられるようになった「墓じまい」。
増える無縁墓、不足するお墓、お墓不要論などなど。現代のお墓事情を考えてみました。

【お墓の意味を考えよう】
 お墓は、二つの意味を持つと考えられています。ひとつは死者を埋葬するところであり、ふたつ目は死者の霊を祭る場所です。
言い換えれば、前者は遺体処理の手段であり、後者は祭祀的要素なのです。
現代の一般的な石柱墓石は、供養塔が転じたものとして仏教の考え方を元にしているとも、神道の考え方を取り入れて魂のよりどころとして作ったとも言われており、正確なところはわかっていないのが実情です。
ただ、仏教では亡くなった人を供養・回向しなければならないと教えており、供養塔はそれを具体的に表すものとされ、現代のお墓のイメージに近いと考えます。

【地方で増える無縁墓】
 家が絶えてお墓を守る人がいなくなり、無縁墓になってしまうということは昔から多くあったと考えます。
しかし現代では、お墓の場所が遠いことや、新たにお墓を持つ費用が大きいことなどが原因で、子孫がいても無縁墓になることが増えてきています。その割合は、どの墓地でもおよそ数%から1割以上と言われておりこの傾向は地方に行くほど強くなっているそうです。たいていの場合、一定の期間を経た無縁墓は手続きを踏んで合祀し、その場所を再整備するといった方策がとられています。
無縁墓地ができる要因の一つとされるのが、独身で一人暮らしをしている人が増加し、お墓を継承する人がいないことがあります。
お墓を受け継ぐのは民法上の祭祀財産にあたり、相続の一環として行われる。言い換えれば、相続人を持たない人は将来お墓を守っ てくれる人がいないということです。これは少子化・非婚化が進む現代社会において今後深刻さを増す問題です。

【お墓の問題の解決策は?】
 これまで、家に対して先祖を祀るお墓は必ず存在するものであったが、その維持が難しくなってきたために、新たな形が模索されるようになってきました。
そのポイントは、費用に関する事。新たなお墓を購入する場合などは数百万円に及ぶ出費となるため、それをどれだけ節約できるかや支出方法を考えなくてはならない。
二つ目は墓守りについてです。自分の墓を守ってくれる人がいないということや、墓を守る子孫がいたとしてもあまり負担をかけたくないと考える人が多くなっています。ようするに、お墓は高くて管理が大変で手に入れにくい、管理をするにしても多くの時間を要するということです。その為、これまでの形態に対するこだわりを捨てることで活路を見出さざるを得ないということです。
そこで、代理参拝や合祀墓という選択肢が出てきたわけです。遠いお墓は業者に費用を払って管理してもらう。こうすることで遠方にあるお墓でも管理が可能になり、将来自分が入るお墓も維持管理が可能となります。

また、墓石という形態でなく、個別のブースを持つ納骨堂なども昨今都会を中心に増えてきています。
また、遠方にあるお墓を、これからの事を考えて、先祖の供養を考えて、改葬することも必要であると考えます。
遠方にあるお墓を放置するのではなくたたむ(墓じまい)も供養となると考えます。
いずれにせよ、現実に墓守りをする人の事情に合わせて、様々な選択肢を考えていくべきでしょう。

【いつ決断すべきか?】
 様々な選択肢がこれからの「墓守」には考えられます。そのうち何がベストな選択なのか?それは、それぞれの事情によるので一概にこれが良いということは難しいとかんがえます。
はっきりと言えることは、「死んでしまってからでは遅い」ということです。例えば、一人暮らしで子供のいない人の先祖お墓をどのようにしていくかは、その方が生前に決めておかないと、何もできないのが自明の理であると同様に、お墓を守ってくれる人がいるから安心だではなく、今を、これからを生きている間に家族で話し合いをしておくことが必要だと考えます。
相続にしても、同様に家やお金という財産だけを引き継ぐわけではありません。祭祀財産であるお墓や仏壇を引き継ぐだけでなく、これまで述べてきたように多大な労力が必要とされるのです。このことも家族で分かり合っておくことがとても重要な事だと考えます。お葬式についても同様です。昨今では、容易に家族葬という言葉を耳にします。「家族葬=費用の掛からないお葬式」という認識が蔓延しているように感じます。
いろいろな選択肢の中から、そして、お葬式が終わった後の供養を含めて総合的に何がベストなのかを検討することが求められているのだと思います。いろいろとわからないこともたくさんあるのでしょう。その時には専門家の人に相談するのが一番です。
その一番身近な専門家が葬儀屋さんだと考えます。昨今、「事前相談」「終活相談」という幟が立っている斎場がたくさんあります。
気軽に相談に行かれることをお勧めします。

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