北九州発の終活情報誌
「もしもの広場」
コラム「香典の意味合い」
先日、当社での葬儀に参列した方からお電話をいただいた。
「〇〇さんの通夜に参列したが粗末な返礼品しかもらえなかった。 他の葬儀社のようにたくさん渡すように喪主に指導すべきではないか」という内容。
『香典を渡したのだから、返礼品に当日の香典返しも付けるよう喪家に指導しなさい』という意味のようだ。 声や話し方から察するに七十過ぎの男性と思われる。 「返礼品というのは喪家がいろいろな状況を踏まえ、自分達に適した返礼の仕方をするものですよ」と伝えると、「お宅だけがそんな方法を取っている。〜昔からのしきたり〜通りにしなさい」と言われる。
本来、返礼品は通夜参列者への通夜菓子、葬儀参列者への会葬御礼、それと香典に対する香典返しが基本であり、香典返しは四十九日法要前後にお渡ししていた。 当日の香典返しを付けるようになったのはここ最近の事である。
「今では返礼の方法も多種多様になったため、いろいろな返礼方法があります」といったことも説明し、「四十九日過ぎに香典返しが届くと思います。それまで待たれてはどうですか?」と言うと「歳をとるとそんなに待てない。お宅はもっと勉強しなさい」と叱られる始末。
ちなみに、この方の香典額は三千円らしい。
電話の主は「香典額以上の返礼品」をもらう葬儀に参列する機会が多かったのだと思われる。 しかし、香典には「故人に対する供物」であると共に、「葬儀の足しにして欲しい」という相互扶助の意味がある。 したがってそのお返しは「半返し」が基本だ。
香典額以上の返礼をすれば、参列者が増えれば増えるほど出費がかさむ(赤字になる)ということだ。 助け合いの香典の意味がなくなってしまう。
参列者へのお返しの方法は様々で、失礼があっても赤字が出てもいけない。そういうことをきちんと教えてくれる葬儀社を選ぶことは重要だと思う。 そしてその情報の中から自分達に合う方法を選択する事がさらに大切だ。
事実、葬儀の打ち合わせの場面で、返礼品目や渡し方について検討するのに多くの時間を割く方も増えてきた。事前に考えておく事例のひとつだと思う。